【コラム】インターネット上の写真やイラストの著作権って?

2023.05.19

昨年から今年にかけて、複数の公立小中学校で著作権トラブルが起きていたことが話題になりました。インターネット上のイラストを作者に無断で「学級通信」に使用し、損害賠償を求められた問題です。「学級通信もダメなの!?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。

インターネット上の画像は簡単にダウンロードできますが、それを使用するには当然、著作者の許可が必要です。小説や論説文といった文章の著作権に対する意識はここ20年でだいぶ浸透してきたように思いますが、写真などの画像についてはまだ認識が甘い部分が多いと感じています。

皆さんご存じのように、入試問題についてはその秘匿性の観点から許諾を経ずに使用することが許可されています(著作権法第36条)。しかし、入試問題を自校ウェブサイトで公開したり、過去問題集として販売したりする場合には許諾を得ることが必要になります。

では、入試問題を二次利用する場合、どのようなものがOK(申請の必要なし)でどのようなものがNG(申請の必要あり)なのでしょうか。

例えば理科の試験問題で植物の写真を使用する場合。ウェブで検索して適当な写真を探し、ダウンロードして貼り込むのはNGです。自分で撮った写真であればOKです。同様に社会の試験問題で使われる寺社仏閣の写真も、自分で撮影したものであればOKです。……とはいえ、なかなか全国に撮影旅行に出かけるわけにもいきませんので、既存の写真を使うのが現実的です。入試問題の二次利用が確定している場合はあらかじめ許諾申請をしておくのがよいでしょう。もちろん、入試実施後、二次利用の前に申請しても問題はありません。

試験問題公開後、著作権者に訴えられて損害賠償……ということにならないためにも、万全の手を打っておくことをおすすめします。またもう1点つけ加えておきますと、ウェブからダウンロードした画像は粗いものが多く、白黒で印刷した場合、受験生にとって見づらく、わかりにくいものになってしまいがちです。見た目のクオリティを下げないためにも、許可を得て購入した(申請すれば無料という写真ももちろん多数あります)高画質の写真を使いたいものです。


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