【コラム】時間がかかり過ぎる「作問会議」、本当に必要ですか?

2023.09.08

入試問題に瑕疵は許されません。かつ、たった1回の試験で受験生の学力を正当に評価できるものでなくてはなりません。条件不足で解答を導き出せなかったり、わかりにくい問題文で受験生を無駄に悩ませたりするのはもってのほか。当然、一人で作成してそのまま印刷に回す……というわけにはいきません。そこで教科担当の先生方が集まって作問会議を開き、吟味・検討を行います。それはもちろん重要な工程です。

しかし、そこに必要以上の時間がかかっているとしたらどうでしょうか。ある学校では、国語の大問1つについて、5人の先生方が4時間会議をしたそうです。夕方5時から始まり、終了は夜9時過ぎ。延べ20時間以上です。しかも後日、その修正稿についてまた何時間もの会議を行ったといいます。校了までにはさらに多くの時間が費やされたことでしょう。それも、たった1大問についてです。

なぜこれほど時間をかけてしまうのでしょうか。それは「判断の軸が定まっていない」ことにあると考えます。原稿を見て、ただ意見を出すだけであれば、それこそ無数の意見が生まれます。会議の出席者全員がピタリと一致する意見など出るはずがありません。重要なのは、出された原稿を「通せるか、通せないか」で判断するという視点です(参考:「原稿を『通す』」には確かな知見と勇気が要る」https://plough21.jp/news/blog1702)。当然、そのためには「通すための条件」を設定しておくことが必要になります。試験として成立するか否かという基本的なことに加え、学校独自のルールがあればそれをクリアしているかどうか。条件を明文化し、チェックリストを作成しておくとよいでしょう。チェックリストに基づき、クリアしていない点を洗い出して方向性を確定する。あとは問題作成者がその方向性に基づいて修正すればよいのです。結果、「本質的でない部分」に費やされていた議論がなくなり、会議の時間短縮につながります。

チェックリストを使用するメリットはほかにもあります。会議の参加者が意見を言いやすくなるということです。特に原稿執筆者が自分よりも目上の先生である場合はなかなか意見を言いにくいものですが、チェックリストがあれば「この部分が、この項目をクリアしていません」と言うことができます。

入試問題制作をアウトソーシングすれば、さらなる効率化が見込めます。会議のゴールは、問題作成者(=当社)に伝える要修正点や要望をまとめること。「なぜ、どう直さなければならないか」を言語化する習慣が生まれます。かつ、外部の会社とスケジュールに則って進行するので、「いつまででも引っ張れる」エンドレスな検討は発生しません。実際、私たちが制作をお手伝いしている学校では、会議そのものをやめ、各教科担当の先生1~2名がチェックを入れるという形をとっているところが多いようです。

入試問題は「作る過程に意味がある」という類いの業務ではありません。効率化を図るために、現場で行われている会議の現状を知り、一石を投じてみませんか。


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