中学・高校の入試結果が出揃うこの時期。入試の総括をされている学校も多いのではないでしょうか。
入試結果というと受験者数の増減や歩留まりについ意識が向きがちですが、試験の平均点はいかがでしたか。50~60点を想定される学校が多いと思いますが、すべての教科で想定内の平均点に収まったでしょうか。得点は正規分布を描いているでしょうか。
いろいろな学校でお話を伺うと、「想定する受験生と実際の受験生との学力ギャップ」を感じていらっしゃる担当者が多いと感じます。つまり「(以前からこのレベルの問題を出題していたから)この程度は解けるだろう」と思って出題したところ、全く解けずに平均点が低く出てしまった、ということです。これは真摯に向き合うべき課題です。
考えられる原因の1つは、作問者が自校の過去問題しか見ていないということです。ギャップを減らすためには、全国の公立高校入試の傾向の変化や、文科省の実施する全国学力テストの問題と正答率などを把握しておく必要があります。
またもう1つの原因は、作問者が平均点を意識していないことです。熱心でこだわりの強い先生ほど、ついついひねった問題や凝った問題を出題しがちです。しかしこれは、失礼な言い方になってしまいますが自己満足以外の何物でもありません。
入試後、平均点や正答率を作問者にフィードバックしないという学校もあるそうです。また、フィードバックしたとしても「今年は理科の平均点が低かったね」といった感想で終わってしまう場合もあるといいます。しかし、学力を正しく測るためには「適正な平均点を追い求める」ことが非常に重要です。平均点が40点以下になるような試験を入学試験として受けさせることは、受験生に寄り添っているとは言えないはずです。
貴校でもぜひ、今年は平均点に関する総括を行ってみてください。いろいろな課題が見えてくると思います。